スーパーカブ110(JA44)の電気系統の負荷を測ってみた

 

原付だってUSB電源や電熱ジャケットなど便利なアイテムを使いたいですよね。

でも小さいバイクはバッテリーや発電機も小さいので電気的な余裕が気になります。

調子に乗って使いまくっていたらバッテリー切れなんて笑えないですからね。

 

ちょうどECUのリセットをしようと思い立ったところだったので、電気系統のチェックと共に負荷を調べてみました。

ちなみに1~3まではサービスマニュアルに沿った電源系の点検になります。

 

カブのバッテリーと発電についてはこちらを参照↓

 

Contents

1.リーク電流(暗電流)を測る

まず、カブの電気回路が正常かどうかを調べてみましょう。

本来、イグニッションがOFFになっている状態は電気回路は絶縁されているので電気は通らないはずですが、様々な部品に使用されている半導体のところではわずかながら電気が通ってしまいます。

この電流の事をリーク電流または暗電流と言って、メーカーでは許容範囲が決められています。

 

スーパーカブ110(JA44)のリーク電流0.01mA以下
カブのリーク電流許容

 

イグニッションOFFの状態で測定した値が0.01mA以下であれば問題ありませんが、それ以上だった場合はどこかで漏電している可能性が高いです。

電流を測る場合は回路に直列につなぐ必要があるので図のようにマイナス端子を外し、テスターを回路に割り込ませて測ります。

電流の測り方

 

実車ではこんな感じ。

マイナス端子を外して間にテスターを割り込ませました。

 

イグニッションOFFの状態で0.003mAでした。

0.01mA以下という事なので問題ありません。

 

2.バッテリーの電圧を測る

次にバッテリー単体を測ってみます。

バッテリーの電圧は端子を開放した状態で測ります。

バッテリー電圧の測り方

 

完全充電13.0 – 13.2V
充電不足12.3V以下
カブのバッテリー基準

 

12.7V… やや充電不足気味ですね。

夜中に電熱ジャケットを使用して走っていたので、その影響かもしれません。

 

3.充電電圧を測る

最後に最もスタンダードな測り方で走行中に正常に充電されるかどうかを調べます。

バッテリーをつないだ状態で下のようにテスターを接続します。

 

本来は満充電されたバッテリーを使用し、下記のような手順で行います。

  1. バッテリーカバーを外した状態でバッテリーにケーブルを接続する。
  2. エンジンを始動し、暖機運転をする。
  3. 暖機が終わったらエンジンを止め、メインスイッチを切ってからテスターを接続する。
  4. エンジンを始動し、ゆっくりエンジン回転数を上げて5,000min-1での電圧を見る。

※エンジン回転数5,000min-1というのは4速で約60km/h程度の回転数です。

 

測定した値が下を満足していれば問題ありません。

標準値バッテリー単体の端子間電圧 < 測定した電圧 < 15.5V

 

満充電じゃないけど測ってみました。

回転数は適当ですが、ある回転数以上では14.3Vでほぼ安定しました。

バッテリー単体の電圧より高いので、発電機から充電されていると読み取れます。

まあいいんじゃないでしょうか。

 

スーパーカブの負荷電流を測る

さてここからが本題。

これまでの点検で回路に問題がないことは分かりましたが、知りたいのはどのくらいの電力が余っているかという事です。

要は「発電している電力>使っている電力」になればバッテリー切れを起こすことはなさそうです。

どうやって調べるか…

 

まずバッテリーとジェネレーターの関係から

カブに限らず他のバイクや車もそうですが、エンジンが回るまではバッテリーから給電しています。エンジンが回っていれば発電機(ACジェネレーター)も一緒に回るので電気が作り出され、そこから給電されるようになっています。

イグニッションON→エンジン始動までバッテリーから給電
アイドリング→走行中ACジェネレータ

低回転時の発電量は少ないですが、回転数が上がるにつれて発電量も上がります。おそらくノーマルの状態であれば発電量の少ないアイドリング時でも必要な電気量はまかなえる設計になっていると思います。

 

スーパーカブの発電量

サービスマニュアルによるとカブのACジェネレーターの発電量は5,000rpmで200Wです。

形式単相交流
出力200W/5,000min-1
チャージングコイル抵抗値(20℃)0.2-1.0Ω
ACジェネレーター仕様

先にも書きましたが、エンジン回転数5,0000rpmというと、計算上4速約58km/hくらいになります。通常走行している時にずーっと60km/hというわけには行かないので、加減速、信号停止なども加味すると平均の回転数は2,000~3,000rpmくらいでしょうか。

発電量を単純な比例グラフにしてみるとこんな感じです。

あくまでイメージ(多分本当は違う)

2,000rpmだと仮定すると出力は80Wになります。

発電中の電圧は14Vくらいだったのでそれで計算します。

80W÷14.3V≒5.6A

5~6Aくらいは使えそうです。

 

通常時の使用電流を測る

走行中にどのくらいの電力を使用しているのかを知りたいのですが、発電をしているとバッテリーに充電していたりするのでよく分かりません。

という事で、ACジェネレーターを外した状態でエンジンを始動させ、単純にバッテリーからどのくらいの電流を使用しているか調べることにしました。

 

ACジェネレーターは左側のクランクケースの内側にあり、そこから出ている2本線が発電用のコイルにつながっている線です。

発電装置のカプラー

奥に見える白いカプラーがそうなので、コイツを外しておきます。

こうすることで発電されない状態を作ってみます。

 

ちなみに…

パルスの配線

同じところからもう2本出てきていますが、こちらはフライホイールの回転からクランクの位置を拾っている「クランクパルスジェネレーター」の線です。

点火時期に関係しているものですね。

 

アイドリング中の電流値測ってみた結果、2.10Aあたりを上下していました。

おそらく点火のタイミングで電流値が変化しているんだと思います。

という事で、ACジェネレーター無しのアイドリング時の消費電力は「2.1A」程度でした。

 

ヘッドライトはACジェネレーターから給電している

実はヘッドライトは常にACジェネレーターからの給電になっています。

バッテリーのみでエンジンをかけてもヘッドライトは点灯しませんでした。

なのでヘッドライトの電流は別で計算します。

 

ヘッドライトの裏

DRIVING BEAM 11.19V 7.83Wと書いてありました。

7.83W ÷ 11.19V = 0.7A

0.7A必要だそうです。

 

  • 走行時発電:5.6A
  • アイドリング時:2.1A
  • ヘッドライト:0.7A
  • ポジション:0.2A

計算してみると5.6-(2.1+0.7+0.2)=2.6A

実際走行すると使用電力が上がりそうなので、それを加味すると2Aちょいくらいは使えそうな雰囲気です。

 

思い返してみると、冬に通勤で電熱ベストを使用していると徐々にバッテリーが弱くなっている感じがありました。

電熱ベストの電流はMAX:3A程度、弱でも1.5~2Aくらい使っているかもしれません。

そうなると、信号ストップや30km/hくらいで走行する場面が多い状態で電熱ジャケットを使用しているとバッテリーへの充電が十分行われていないとしても不思議ではありません。

どうやら私のスーパーカブに追加で使用できる電流値は2A程度がラインなのかもしれません。

 

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